in other words

蛍石
2012年01月21日土曜日
蛍石をたべた。
白い標本箱に淡くならんだ黄、緑、青、紫をひとくちずつかじると、ぼうっと光った。
道明寺をまぜた錦玉羹のような味がした。

2012.01.22 Sun 17:10  | コメント(0)|トラックバック(0)
すれ違う顔、顔、顔には弱さの印歎きの印がはつきり刻印されていた
ウィリアム・ブレイク版画展 @国立西洋美術館
  http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/williamblake2011.html

ヨブ記のための挿絵「ヨブの息子たちと娘たちの破滅」と、
神曲のための挿絵「アーニョロ・ブルネレスキを襲う六本足の蛇」
(怪物の六本の足に抱きしめられ横ざまに頭を喰らわれる男の見開いた目)がおそろしかった。
 
六の足ある一匹の蛇そのひとりの前に飛びゆきてひたと之にからみたり
中足をもて腹を卷き前足をもて腕をとらへ、またかなたこなたの頬を噛み
後足を股に張り、尾をその間あひより後方におくり、ひきあげて腰のあたりに延べぬ
木に絡む蔦といへどもかの者の身に纏はれる恐ろしき獸のさまにくらぶれば何ぞ及ばん
かくて彼等は熱をうけし蝋のごとく着きてその色を交へ、彼も此も今は始めのものにあらず
さながら黯みてしかも黒ならぬ色の炎にさきだちて紙をつたはり、白は消えうするごとくなりき

二の頭既に一となれる時、二の容いりまじりて一の顏となりそのうちに失せしもの我等の前にあらはれき
四の片より二の腕成り、股脛腹胸はみな人の未だみたりしことなき身となれり
もとの姿はすべて消え、異樣の像は二にみえてしかも一にだにみえざりき、
さてかくかはりて彼はしづかに立去れり

  山川 丙三郎訳 ダンテ『神曲(地獄篇)』第二十五曲

2012.01.11 Wed 23:25  美術| コメント(0)|トラックバック(0)
Yo lo vi.
プラド美術館所蔵 ゴヤ 光と影 @国立西洋美術館
  http://www.goya2011.com/index.html

金の繍やレースのショールと、
銅版画のための素描の前でぽかんとつっ立ってきた。
ゴヤの銅版画の女の後ろ頭は情慾をかんじさせる。

理性の眠りは怪物を生む 理性の眠りは怪物を生む

明晰の妄 明晰の妄

2012.01.11 Wed 23:23  美術| コメント(0)|トラックバック(0)
蒲団の上の極楽責め
壽初春大歌舞伎 @新橋演舞場
昼の部 
二、祇園祭礼信仰記 金閣寺

菊之助さんの啼泣を味わい尽くしてきた。
縛られた肩の円み(はじめは角ばっていたのに、あらがい喘ぎ喘ぎするうちに、だんだん円くなっていくようにみえた)、
「花の散るさえ恨みなる」のとこの腰。
ただ、あの玉手のときの手つきのなまめかしさがあまりに凄まじかったので、なんだかものたりなかった。
三津五郎さんの大膳は脂っこくないのに房中術に長けてそうないいいやらしさで、
「蒲団の上の極楽責め 声はり上げて うたえ うたえ」も足で弄るのもさらりとしていて、天下取りのついでに色事しているだけ、という余裕がたまらなかった。

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2012.01.11 Wed 22:00  芝居| コメント(0)|トラックバック(0)
如是畜生発菩提心
新春浅草歌舞伎 @浅草公会堂
  http://www.asakusakabuki.com/


第一部 
一、南総里見八犬伝 富山山中の場
          大塚村庄屋蟇六内の場
          円塚山の場
二、廓文章 吉田屋

だいすきな上方の役者さんだらけでしあわせだった。
竹三郎さんも薪車さんも壱太郎さんも、ひとつひとつのかたちがうつくしくて、みていてうれしくなる。

八犬伝はここだけみてさえおもしろかったので、ぜひ通しでみたい。

どちらの幕にも壱太郎さんのくどきがあったけれど、
歌昇さんとのきよらかな髪梳きは勿論、
懐紙を咥えた夕霧にも生々しさが微塵もなく、まるで夢の女のようだった。
むしろ蹴転がされ倒れ伏した姿が踏み躙られた落椿のようでぞくぞくした。
(壱さんは浜路より八犬士をやってみたかったとか。親兵衛が似合いそうだ。)

じゃらじゃら痴話喧嘩してるとこみせられるだけなのに、わたしは吉田屋がだいすきだ。
懐紙や襠裲(うちかけ)や文や炬燵をつかって醸しだす、ゆったりとしたなまめかしさにうっとりする。
壱太郎さんのお初をみた時、どうかおとなになってくれるな、をとめの姿しばしとどめむ…と狂おしかった。
でも、どんどん色っぽくなっていく夕霧がみられるとおもったら、これからがたのしみになった。

2012.01.10 Tue 23:26  芝居| コメント(0)|トラックバック(0)
あるべきやうは
川端康成・東山魁夷コレクション展 @新潟市美術館
  http://www.ncam.jp/exhibitions/20120102k_exhibitions.htm

「夢記断簡」  http://www.miho.or.jp/booth/html/imgbig/00012363.htm  をみてきた。
川端康成愛用の水滴は、寝牛も玄武も犬もどことなしに似た顔をしていた。
東山魁夷所有の、飴玉のような楠部彌弌の彩挻がほしくなった。


常設展の同じ展示室に、甲斐庄楠音の女と安宅安五郎の『春』がいた。
うっとりと頬を染め、紗の黒衣をはだけて膨らんだ腹を撫ぜる生白い女と、
陽光と白木蓮と鴛鴦のつがいに守られた眩しそうな少女とは、
どちらもなにかをもて余しているようにみえた。

2012.01.09 Mon 18:13  美術| コメント(0)|トラックバック(0)
殺し場
2011年01月05日金曜日
髪を攫まれ引き摺りまわされた。

2012.01.06 Fri 21:56  | コメント(0)|トラックバック(0)
海内存知己 天涯若比鄰
鳴神
八代目市川団十郎の鳴神上人と坂東しうかの雲のたへま。
嘉永四年(1851)、市村座。豊国画。


  
  海内存知己 天涯若比鄰

この世界のどこかにわかってくれる人がいるなら、
天の果てにいても隣にいるようなもの。
(唐・王勃の詩、送杜少府之任蜀州)

これからもよろしうお頼もうします。   



2012.01.01 Sun 23:55  | コメント(0)|トラックバック(0)
"How long have we dreamed about this?" "Since we were kids." "Yeah. Now look at us. Grown men."
Paul
  宇宙人ポール
  http://www.paulthemovie.jp/

誰かをしあわせにすることがわたしのしあわせ、というクリスマス精神にのっとった映画だった。
多幸感でふわふわする。
またコスモアイル羽咋  http://www.hakui.ne.jp/ufo/  にいきたくなった。



2011.12.24 Sat 23:43  映画| コメント(0)|トラックバック(0)
當る辰歳吉例顔見世興行
新装開場二十周年記念
當る辰歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎

以下覚書

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2011.12.17 Sat 23:57  芝居| コメント(0)|トラックバック(0)
明治の七宝
明治の七宝 @  清水三年坂美術館

明治の七宝

涛川惣助の月下牡丹にトリカブト図香合にみとれた。
無線七宝の淡くにじむ花びらのとろけるような質感がたまらない。  

   明治の七宝は欧米人が高値で買うため、
  日本人の目には殆ど触れることもなく、海外に流出していった。
  国内で殆ど唯一の購入者は、明治天皇、宮内省であった。
  それは明治天皇が個人的に七宝作品がお好きだったからであり、
  宮内省は海外から来られる国王や大統領へのプレゼント品として
  購入していたからである


わたしのだいすきな「をぐり(小栗判官物語絵巻)」(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)も、代々岡山藩の家老をつとめた池田家の当主が日清戦争の折に広島大本営に逗留された明治天皇の無聊をお慰めするべくご覧にいれたらお目にかなっちゃってまきあげられた、らしい。
…明治天皇が嫉ましい。


ミラクル絵巻で楽しむ「小栗判官と照手姫」―伝岩佐又兵衛画 (広げてわくわくシリーズ)ミラクル絵巻で楽しむ「小栗判官と照手姫」―伝岩佐又兵衛画
(広げてわくわくシリーズ)

(2011/09)
太田 彩

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2011.12.15 Thu 23:55  美術| コメント(0)|トラックバック(0)
とまどうペリカン
2011年12月11日 日曜日
まっさかさまに墜落したペリカンの嘴が地面に突き刺ささった。
タツノオトシゴに似た鳥がわたしの肩や頭を啄ばんだ。


2011.12.11 Sun 21:45  | コメント(0)|トラックバック(0)
骨から見る生物の進化

骨から見る生物の進化【普及版】骨から見る生物の進化【普及版】
(2011/11/18)
J・ド・パナフィユー

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   人間の骸骨を持ってきて、
   骨盤の骨に傾斜をつけ、腿と脚と腕の骨を短くし、
   手足の骨を長く伸ばし、指節骨をひとつ接合し、
   顎を長くして前頭骨を短くし、さらに脊柱も長く引き伸ばせば、
   その骸骨はもはや人間のなきがらではなく、馬の骨である。
 
              Georges-Louis Leclerc, Comte de Buffon

 まるまったマタコミツオビアルマジロの骨から目が離せない。
(アルマジロはみんなまるくなるのだとおもっていたら、ミツオビアルマジロとマタコミツオビアルマジロしかまるまれないそうだ。上野動物園にマタコミツオビアルマジロがいるので、みにいこうとおもう。)

 「3000万年前に生きていた動物は、現在の動物と質的に異なるものではない。人間の脳がきわめて複雑な器官であるとしても、解剖学的に見て人間の器官に特別なところはひとつもない。地球の歴史において、特別な系統が、あるとき人間という種を生み出すことになるのを示すものはなにもない。(略)
当然ながら、われわれも偶然に出現したといえるのである。」
 「自然はわれわれの疑問と無関係に存在しているし、科学もわれわれの疑問に答える役目を担うことはできない。進化論は、自然はいかなる計画も持たないと述べることによって、人間を特別な地位から引きずりおろしただけでなく、われわれの過去においてすでに未来が決められているという重圧から、われわれを解放した。」

2011.11.30 Wed 21:10  | コメント(0)|トラックバック(0)
弟帰る
宇宙飛行士の古川聡さんが167日ぶりに地球に帰還した日、
175日ぶりに失踪弟めがかえってきた。
おかえりなさい。

2011.11.23 Wed 00:34  | コメント(0)|トラックバック(0)
木馬はまわる
carrousels

蝋燭の暖気でくるくるまわるフラミンゴとウサギ。
影が壁を駆けめぐるのが、憧れのマジック・ランタン風でたのしい。




2011.11.13 Sun 23:23  | コメント(0)|トラックバック(0)
月は沈み 太陽は消えた
 
  http://youtu.be/_GppFXEcFtk

UNDER GROUND デジタル・リマスター版
  http://www.eiganokuni.com/ug/

  
  月は真昼に照り
  太陽は真夜中に輝く
  真昼の暗黒を誰も知らない

しばらく立ちあがれなかった。
「この世のいかなる生き物も、現実世界の厳しさの中で、
 つねに正気を保ち続けていくというのは難しい。
 ヒバリやキリギリスにしたって、夢は見るというのだから」
 (  『丘の屋敷』  )
ということばが頭ん中をぐるぐるしていた。


2011.11.12 Sat 23:59  映画| コメント(0)|トラックバック(0)
Life's no fun without a good scare.

アダムス・ファミリー全集アダムス・ファミリー全集
(2011/10/26)
チャールズ アダムス

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「いま不幸せかい?」
「もちろんよ!不幸せすぎてこわいくらい」

2011.10.31 Mon 22:24  | コメント(0)|トラックバック(0)
秋日小情
花鳥の名画と工芸展 @敦井美術館
  http://www.tsurui.co.jp/museum/

板谷波山のとろりとした青磁の鴨、楠部彌弌のまろらかな彩埏花瓶。
群青中毒者・速水御舟の「白日夢」は、露草、ねこじやらし、吾亦紅、ナズナ、コヒルガオ…の陰にちょろりと鉛粉の蜥蜴。

2011.10.25 Tue 21:47  美術| コメント(0)|トラックバック(0)
銀の孔雀の羽からとった 夢からさめない薬をのんで
インドの驚異譚 1(全2巻)―10世紀<海のアジア>の説話集 (東洋文庫)インドの驚異譚1 ―10世紀〈海のアジア〉の説話集 (東洋文庫)
(2011/10/20)
ブズルク・ブン・シャフリヤール
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10世紀南イランの船主だったシャフリヤールが、インド洋を航海するイラン系船乗りたちから蒐集・編纂した奇譚集。
人魚、女護島、寺院娼婦(devadasis)、怪魚、お化け蟹、目をあわせただけで死ぬ毒蛇、空飛ぶ毒蠍、獣姦、「お直し」を脅しとる遣り手猿…

2011.10.22 Sat 21:41  | コメント(0)|トラックバック(0)
屍鬼二十五話
1世紀インドの詩人、ソーマデーヴァの『屍鬼二十五話』(東洋文庫)を一夜一話ずつ読む…つもりだったのに、
あまりのおもしろさに6日でお終いになってしまった。
或る呪法を成すために、王が縊死体に憑いた屍鬼に次々とかけられる奇想天外な謎に答えていくというものがたり。
一話終わるごとに木にぶらさがりにぴょいぴょい飛んで帰る死体(屍鬼)がかわゆい。

頭から尻尾まで奇想がつまっていた。。
六「すげかえられた首」、二十「生贄の少年はなぜ笑ったか」がとくに凄い。
いつかみんな消えてなくなる、神さえも。

2011.10.17 Mon 21:21  | コメント(0)|トラックバック(0)
かきのもとと鱈ちり
菊の初物をいただいた。
花芯を残して毟った花弁を酢水で湯がいてさっと搾り、ポン酢をかけて菊びたしにした。
仄かな苦味と香りのご馳走。
たくさん毟ったので、指先にもうつり香。

菊

鱈ちり
 肝を潰して酒でのばしたのを出汁にして
 (母が、北方謙三の水滸伝にでてくる阮家の鍋を真似た)
 白菜と葱と鱈ブツ切りを大鍋で煮て塩胡椒ふるだけ。
菠薐草の胡麻和え
菊びたし


2011.10.11 Tue 21:10  鉄は熱いうちに喰え| コメント(0)|トラックバック(0)
昨晩のことは喜劇だとあなたにはわかった

装飾庭園殺人事件 (扶桑社ミステリー)装飾庭園殺人事件 (扶桑社ミステリー)
(2011/09/29)
ジェフ・ニコルスン

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 老ロック・スターが聳え立つ彼の円柱に蛍光塗料を塗ったくって生娘に造化の妙を見せつけるくだりに声出して笑ってしまった。
 そんな目には遭わされるものの、造園家とその妻もロックスターも警官も、奇人たちはみんなこの17歳の退屈娘、ローズマリーにやさしい。
 ウィズデンが園芸本に好んで引用したシェイクスピアによれば、ローズマリーの花ことばは思い出。
 
 「これがマンネンロウ(ローズマリーの和名)、
  あたしを忘れないように――ね、お願い、いつまでも。」
  (「ハムレット」第4幕5場 福田恆存 訳)
 「お年を召したあなたがたに思い出の花マンネンロウと
  恵みの花ヘンルーダを。
  この二つの花は冬のあいだずっと色と香りを失いません。
  お二人に神の恵みとよき思い出がありますように。」
  (「冬物語」第4幕第4場)
 「奴等は凄まじい呻き声をあげ、もう痺れて何も感じなくなった裸の腕に、
  針、木串、釘やマンネンロウの小枝の類をみずから突き刺し」 
  (「リア王」第2幕第3場 福田恆存 訳)
 

2011.10.08 Sat 22:09  | コメント(0)|トラックバック(0)
死は花盛り
新潟古町の老舗書店・萬松堂には、出版社の注文書から外された(絶版寸前な)本を集めた、覗かずにおれない木箱がある。
そこから、ポール・ドハティーの猥雑な中世ロンドンミステリを身請けしてきた。

毒杯の囀り (創元推理文庫)毒杯の囀り (創元推理文庫)
(2006/09/30)
ポール・ドハティー
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赤き死の訪れ (創元推理文庫)赤き死の訪れ (創元推理文庫)
(2007/09/11)
ポール ドハティー
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「熊にも魂があるのか、托鉢修道士?天国にいくのか?」
「あなたの天国が熊を必要としているなら、ジョン卿、そこには熊がいるでしょう」

クランストンが呟いた Media Vita in Morte Sumus(わたしたちは死の只中に生きている) というラテン語の警句そのものの、下賤で聖なる十四世紀ロンドンにひたるのにもってこい。
香辛料と汚物の雑ざったにおいや物売りの呼び声物乞いの哀願晒し台の呻き声、その隅に灯るささやかなよろこび。
鶯張りの廊下や凍てついたロンドン塔で弄されたトリックもおもしろかった。
急遽、  神の家の災い  も買った。

2011.10.08 Sat 13:10  | コメント(0)|トラックバック(0)
 まえのひ>>